NEWS / BLOG
ピラティスは健康法のひとつ。万能薬ではない。
最近は、マシンピラティスを中心に「ピラティス」が一気に身近なものになってきました。
実際、フィットネス業界でもマシンピラティスを含む多様な業態が増えており、業界側でも“ブームか、文化として定着するのか”が語られるほど注目が高まっています。
私はこの流れ自体は、とても良いことだと思っています。
ピラティスは、呼吸や姿勢、身体のコントロールに意識を向けやすく、運動が苦手な方でも入りやすい方法のひとつです。
ただ一方で、少し気になることもあります。
それは、「ピラティスさえやれば身体が整う」「ピラティスが正解」のような空気が強くなりすぎていることです。
でも本来、ピラティスは健康法のひとつです。
とても良い手段ではありますが、すべての人にとって唯一の正解というわけではありません。
なぜなら、身体の不調はそんなに単純ではないからです。
腰痛ひとつをとっても、原因は一つではありません。
筋力、柔軟性、呼吸、姿勢のクセ、関節の動き、疲労、生活習慣、仕事での負担、ストレス。こうしたいくつもの要素が重なって、「今のつらさ」として表に出てきます。
そのため、ある人にはピラティスがとても合います。
一方で、別の人には筋力トレーニングのほうが必要かもしれません。
また別の人には、まず痛みを減らすための調整や、関節の動かしやすさを出すことが先かもしれません。
ここで大切なのは、
“何が流行っているか”ではなく、“今の自分に何が合っているか”です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、成人では歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上、さらに筋力トレーニングを週2〜3日取り入れることなどが示されています。
また、個人差を踏まえて、強度や量を調整しながら、できることから取り組むことが勧められています。WHOも、成人では週150〜300分の中強度身体活動や、週2日以上の筋力強化活動を推奨しています。つまり健康づくりは、ひとつのメソッドだけで完結するものではなく、身体活動全体のバランスで考えるものです。
だから私は、
ピラティスを“否定”したいのではなく、“過大評価しすぎないほうがいい”と考えています。
ピラティスは素晴らしい方法です。
ですが、それはあくまで選択肢のひとつ。
健康づくりの世界では、「これだけやっていれば大丈夫」という考え方ほど危ういものはありません。
大事なのは、見た目だけ整うことではなく、
痛みに悩みにくく、日常生活で動ける身体になっていくことです。
楽に歩けること。
しゃがめること。
振り向けること。
疲れにくいこと。
不安なく動けること。
こうした日常の“使える身体”までつながってこそ、本当の意味で身体が整ってきたと言えるのではないでしょうか。
当院では、ピラティスだけにこだわるのではなく、
整体、ストレッチ、筋力トレーニング、動作改善を組み合わせながら、その方の状態に合わせて進めています。
ピラティスが合う方には、もちろん有効です。
ただし、必要なのは「ピラティスをすること」そのものではなく、
今の身体に必要な順番で、必要なことを行うことだと考えています。
流行っている運動を選ぶことも大切です。
でもそれ以上に大切なのは、
自分の身体に合った方法を選ぶこと。
ピラティスは健康法のひとつ。
だからこそ、万能だと思いすぎず、上手に活用していくことが大切です。